今回のEpisodeでは、前職で広報を担当していた時に大変お世話になった、Financial Times(FT)の元東京副支局長の中元 三千代さんの書籍「世界で成功する5つの力」(大和書房)をご紹介します。
私の勤める英会話スクールTBECのモットーは、“ビジネス現場で本当に使える英語を身に付けた、世界で通用するグローバル人材を育てること”で、コミュニケーションツールとして英語をマスターしてもらうのは勿論、グローバルのビジネスフィールドで活躍するために必要なコミュニケーションスキルの習得のための支援を行っています。
この本は特に後者の、グローバルで通用するコミュニケーション力を上げるためにはどのようなスキルが必要なのか皆さんに的確な助言を与えてくれる教科書です。
中元さんのプロフィールを簡単にご紹介します。
中元さんは1979年イェール大学卒業後にユネスコ・アジア文化センターなどを勤務したのち、1988年から金融、経済報道で突出した信頼性を誇る英Financial Times(FT)紙の東京特派員としてジャーナリズムの世界に入られました。
その後1990年からFTのロンドン本社での勤務後、1993年よりFT東京支局特派員を経て、2006年より東京副支局長として勤務されました。
2013年にフリーランス・ジャーナリストになり、その後も世界の金融界、通商問題、外交分野等を精力的に取材されています。
世界で活躍する日本人の条件とは?
中元さんはFT記者として25年近く、日本を含むグローバル企業のエクゼクティブやビジネスパーソン、政治家、学者、芸術家、その他さまざまな人たちを取材してきました。その中で日本人全般にコミュニケーション力が欠如していることが原因により、その人自身やまたその企業、ひいては日本全体の存在感が薄れていることを危惧されてきました。
もちろん日本人の中にも世界を股にかけ、語学も堪能で、どこへいってもトップの仲間入りができるビジネスパーソンや、語学力とは無関係に世界的な著名人も大勢います。
このように世界で通用する日本人と、海外でまったく相手にされない日本人にはどのような差異があるのか、記者の視点と海外での生活経験をベースに見て来られた中元さんが、これから日本を背負って立つ日本人の皆さんにグローバルで活躍するために身に付けるべきスキルを提案してくれています。
中元さんは、”グローバルに活躍する日本人ビジネスパーソンや政治家、学者らがもつ共通点”について5つのポイントを挙げています。
1⃣ 会話する力(Master the art of conversation)
「しゃべるが」が勝ち → 世界エリートは個人的な話をビジネスの場でする
2⃣ 伝える力(Drive home a message)
「メッセージ」は何? → 伝えるのは「事実」だけでは物足りない
3⃣ 自信 (Project confidence)
自身がなくてもある「ふり」をしよう → 「正直者」は世界の競争に負ける
4⃣ 売り込む力(Promote yourself)
自己PRを「さらり」としよう → 待っていても、誰もあなたを売り込んでくれない
5⃣ 誇る力(Have self-esteem)
「控えめ」で得をすることは何もない → 謙遜は美徳とは限らない
日本の文化とビジネス環境で育ち、日本国内のみで仕事をしていた頃の自分では、これら5つのポイントの重要性に素直に賛同するのは難しいと思います。しかし海外での勤務経験をしてきた現在、中元さんの上げるこの5つのポイントは本当に重要な視点で、海外で仕事をする場合にこれらのポイントを含んだストレートなコミュニケーション能力がないと相手から自分の存在を認めてもらうことはないと言えます。
特にこれからの日本を担っていく若いビジネスパーソンの皆さんは、日々の努力の積み重ねにより英語コミュニケーション力を身に付けながら、この本で中元さんが挙げている5つのスキルの本質とは何なのかを正しく理解して下さい。そして今自分に足りないスキルは何か自己評価をして頂き、足りないスキルを1つずつ身に付けていって下さい。
グローバルビジネスに携わる全ての日本人にとって必読の一冊です。
<今日のビジネスで使えることわざ>
“千里の道も一歩から”
You have to learn to walk before you run.
JT