皆さんは前置詞は得意ですか?
簡単そうな前置詞ですが、それぞれにいろいろな意味があるので覚えるのが大変で苦手意識を持つ方も多いのではないかと思います。
前置詞とは名詞(代名詞)の前において意味を付け足す言葉で、日本語では 「は」「を」「に」 などの助詞に近い言葉ですが、前置詞はそれぞれに具体的な意味を持っています。
日本人学習者の場合、日本語の助詞に引きずられてしまい間違った前置詞を使ってしまうことがあります。
今回のEpisode「日本人が間違えやすい英語表現」シリーズでは前置詞を取り上げ、前置詞の本質を分かりやすく理解する方法についてご紹介します。
日本語の「~から」はいつでも from ?
日本人学習者が日本語の助詞に引きずられて間違った前置詞を使う代表的な例として、助詞の「~から」の場合を見てみましょう。
それではまず問題です。次の日本語を正しく表現している英文はA、Bのどちらでしょうか?
「その試合は午後7時から始まります。」
A: The match starts from 7:00 PM.
B: The match starts at 7:00 PM.
正解はBです。
日本語の「から」は起点を表す助詞なので英語の前置詞 from とは意味が近いのですが、この例題の場合の正解は from ではなく at となります。
from は起点を表します前置詞ですが、起点・終着点(~まで)を暗示させる起点という意味を含んでいます。
一方、「始まる」という動詞の start は、その行動が「よーい、ドン」で始まる瞬間の動作を表す動作動詞なので、起点と終点という感覚を含んでいません。
この問題の場合は、「7時に」という意味で前置詞は時間の前に使う at が正解で The match starts at 7:00 PM. となります。
同じように日本語の「~から」の助詞に引きずられて前置詞を間違えやすい例として次のようなものがあります。
「太陽は東から昇る。」
日本語の「から」に引きずられて The sun rises from the east. と多くの日本人が間違えてしまいます。
正解は、The sun rises in the east. です。
rise(昇る)という動詞はまさにその時の動きを表す動作動詞なので、この例文の場合は「(日が)昇る」という事象が起こる方角である east を示す前置詞として in が使われます。
最適な前置詞を選ぶ時に気を付けないといけないのは、動詞の本来の働きとそれにマッチした前置詞を選択することです。
前置詞の本質はそのイメージ図で理解する!
前置詞をマスターするために重要なポイントは、前置詞が持つ本質の意味をイメージで理解し、そこから派生の意味を理解することです。
例えば、前置詞 for は「~のため」が代表的な意味ですが、それ以外にも「代償」「交換」「理由」など20個以上の意味が辞書に載っています。しかし、これらすべての意味を暗記するのは大変ですよね。
ところが、for が持つ本質のイメージが理解できれば、それ以外の派生する意味も容易に理解できるようになります。
それでは 日本人が間違いやすい前置詞の使い方の例として、「~へ(行く)」という方向を表す場合に使う前置詞、 for と to の違いについてイメージ図を使って説明したいと思います。
まず前置詞 for の持つ意味の本質は「方向」のイメージです。何かに向かっている時や目的とか目標を示すときに使われます。
同じ方向を表す前置詞に to がありますが、to と for には明確な違いがあります。
前置詞 to の意味の本質は「到達する」のイメージです。
for は向かっている方向を示すだけで、to はその目的地に到達したことも意味しています。
I left for Tokyo.
私は東京に向かって出発した。(到着したかどうかは不明)
I went to Tokyo.
私は東京に行った。(到着した。)
それぞれの前置詞についてイメージにより正しい理解をすることで、日本語の助詞に引っ張られずに正しい前置詞を使って会話が出来るようになります。
前置詞の意味をイメージ図で分かりやすく理解できるYouTube動画
前置詞の意味をイメージ図から分かりやすく理解できるYouTube動画を紹介します。
それは、このコラムのEpisode#43でもご紹介した「英語コーチ イングリッシュおさる」のYouTube動画です。
「英語コーチ イングリッシュおさる」のYouTubeはこちら
【完全イメージ化】前置詞44選【総集編】 – YouTube
「英語コーチ イングリッシュおさる」が主要前置詞44個について、イメージ図を使いそれぞれの前置詞の本質をたいへん分かり易く伝授してくれます。
また動画で使われている前置詞のイメージ図は、このコラムで使用した for や to のイメージ図の様に動きがありインターネット上に沢山ある他のイメージ図より分かり易いのでお勧めです。
この動画は全編1時間37分の長編バージョンですが、何回かに分けて繰り返し勉強して前置詞をマスターしてください。
<今日のビジネスで使えることわざ>
“便りがないのは良い便り”
「No news is good news.」
JT