記録的な猛暑だった今年の夏もやっと終わりました。10月となり“食欲の秋”、“読書の秋”、“芸術の秋”がいよいよ本番です。
ところで英語で10月は「October」ですが、ご存じかもしれませんが語源の「octo」とはラテン語で“8”という意味です。
8本足のタコは「octopus」、8角形は「octagon」ですが、これは“8”を意味する「octo」が語源となったものです。それではなぜ「October」は8月でなく10月を意味するようになったのでしょうか?
今回のEpisodeは意外に知らない英語の月の名前の由来についてのお話です。
英語の月の名前は古代ローマ時代の言葉や神様、皇帝の名前に由来している!
「10月:October」の由来
なぜ「October」が8月でなく10月を意味するのか、その理由について説明します。
紀元前753年に古代ローマ帝国が採用したロムルス暦では1年は10ヶ月しかありませんでした。このロムルス暦では1年の始まりが現在の1月ではなく、3月にあたる月から始まっていました。
そのため3月から数えて8番目の月として「October」となりました。
その後紀元前713年に採用されたヌマ暦では現在の1月、2月にあたる2ヶ月が追加されて1年は12ヶ月となりました。
さらに紀元前153年の改暦により1年の始まりが1月からとなり、古い暦では8番目の月を意味していました「October」が2ヶ月のずれが生じました。その結果、本来は8番目の月を意味する「October」がそのまま10月を意味するものになりました。
ラテン語の意味では第8番目の月を意味していた「October」でしたが、長い年月のなかで意味は変わりましたが、現在も10月を表す言葉として使われ続けています。
「7月:July」と「8月:August」は皇帝の名前に由来
ローマ帝国時代には、月の名前に自分の名前を付けたいという皇帝が現れました。
それがユリウス・カエサル、英語読みではジュリウス・シーサー(Julious Ceaser)とアウグスティヌス(Augustinus)でした。この2人の名前の一部を取り、7月が「July」、また8月が「August」と名付けられたという説が有望です。
もともと月の名前は8月を8番目の月として「October」と呼んでいたのと同様に、5番目の月「Quintilis」、6番目の月「Sextilis」のように呼ばれていましたが、それぞれの皇帝の誕生日の7月と8月を自分の名前に変更しました。
9月から12月はラテン語に由来
9月(September)、10月(October)、11月(November)、12月(December)はそれぞれラテン語で“7番目の月”、“8番目の月”、“9番目の月”、“10番目の月”を意味しています。
ラテン語で「Septem」は7、「Novem」は9、「Decem」は10を表します。
Octoberと同様に旧暦で名付けられた月の名前と現在の暦の間にここでも2ヶ月のずれが生じて現存しています。
ところで「dec」ですが、理科で習ったデシリットル「decliter」は10mlを表しですが、それ以外にも10年「decade」もラテン語起源の単語です。
1月から6月はラテン語の神話の神様に由来
1月:January
Januaryは古代ローマにおいて1月を表すJanuarius(ヤヌアリス)というラテン語を語源とする言葉で、古代ローマにおいて門の守護神として位置付けられていたJanus(アヌス)という古代ローマ神話の神の名前が由来とされています。
古代ローマでは戦いに出陣する際に通る門にアヌスを祀っていたそうです。そこから物事の始まりを表すようになったようです。
2月:February
Februaryは古代ローマにおいて2月を表すFebruarius(フェブルアリウス)というラテン語を語源とする言葉で、古代ローマで贖罪の神フェブルウスが由来とされています。
戦争で亡くなった人たちの弔いの慰霊祭を毎年2月に行っていました。旧暦では2月が1年の最後の月になるので死者を弔うのにちょうどよいタイミングだったようです。
3月:March
Marchは古代ローマにおいて3月を表すMartius(マルティウス)というラテン語を語源とする言葉で、ラテン語におけるMartiusという単語はもともと、古代ローマにおいて軍事と農耕を司る神として位置付けられていたMars(マルス)というローマ神話における神の名前に由来するとされています。昔の暦では3月が今で言う新年であり、始まりの月でした。冬が終わり始める時期でもあり、戦いも行いやすい時期だったのでしょう。
4月:April
Aprilは古代ローマにおいて4月を表すAprilis(アプリリス)というラテン語を語源とする言葉で、ラテン語におけるAprilisという単語はもともと、古代ローマにおいて愛と美を司る女神として位置付けられていたラテン語のVenus(ウェヌス)、英語読みでヴィーナスで知られているローマ神話における女神の名前に由来するとされています。
5月:May
Mayは古代ローマにおいて5月を表すMaius(マイウス)というラテン語を語源とする言葉で、ラテン語におけるMaia(マイア)というローマ神話における女神に由来した名前です。マイヤは全能の神ゼウスと結婚した女神で、豊穣の象徴とされています。5月は芽吹いた草木に様々な実が付き始める頃なのでこの女神の名前がつけられました。
6月:June
Juneは古代ローマにおいて6月を表すJunius(ウーニウス)というラテン語を語源とする言葉で、ラテン語におけるJuniusという言葉はローマ神話における主神ユピテルの妻にして結婚と出産を司る女神として位置付けられたJuno(ユーノ)というローマ神話の神の名前に由来しています。そのユーノの結婚のご加護があるのが6月ということで、結婚と言えば“ジューン・ブライド”となりました。
<今日のビジネスで使えることわざ>
“すべての道はローマに通ず”
「All roads lead to Rome.」
JT