イギリス特集最終回の今回のテーマはイギリス王室です。
今年即位70周年を迎えたエリザベス女王の「プラチナ・ジュビリー」や王位継承順位についてご紹介します。
エリザベス女王即位70周年 「プラチナ・ジュビリー」
ジュビリーはもともとはユダヤ教で50年に1度の周期で祝賀が行われることにもとづく習わしで、25年または50年に一度などに行われる重要な出来事の周年記念日や、それを祝賀して開催される祝典のことを意味しています。一般にも結婚記念日を25周年は銀婚式、50周年は金婚式、60周年はダイヤモンド婚式として祝います。
王室にまつわるロイヤル・ジュビリーでは君主の在任期間により、25周年(シルバー)、40周年(ルビー)、50周年(ゴールデン)、60周年(ダイヤモンド)、65年(サファイヤ)、70周年(プラチナ)となります。
1952年王位を継承したエリザベス女王は、2022年2月6日でイギリス君主として初めてとなる即位70周年「プラチナ・ジュビリー」を迎えられました。
その功績を祝いイギリスでは6月2日から5日までの4日間様々な記念イベントが盛大に行われました。日本のニュースで華やかなイベントを見た方も多いのではないでしょうか。
今年4月に96歳を迎え、存命中の君主としては世界最高齢となったエリザベス女王。
バッキンガム宮殿周辺で行われる祝賀パレードに馬車に乗って参加する予定でしたが、女王の体調を考慮しバッキンガム宮殿バルコニーから馬車を見送られました。
ご高齢になられた女王に代わり、チャールズ皇太子やケンブリッジ公爵が女王の公務を代行することも多くなってきました。
イギリスは立憲君主国制の国家ですが、女王は「君臨すれども統治せず」とされ、政治の実権を直接的に行使することはありません。言わばイギリス統合を象徴する存在で、イギリス国民にとっての母や、祖母のようでもあるかけがえのない存在となっています。
新型コロナウイルスの感染拡大でイギリス社会に不安が広がった際には、医療従事者やボランティアとオンラインで対話をしたり、テレビ演説で連帯を呼びかけたりするなど国民に寄り添う姿勢を鮮明にし、国民が女王の存在を改めて認識する機会にもなりました。
エリザベス女王はそのキャラクターからも国民に愛されています。
プラチナ・ジュビリーに合わせて作成されたビデオでは、イギリス人に愛されている熊のパディントンとお茶をするエリザベス女王の様子がYouTubeで発信されました。
このビデオを撮影することはエリザベス女王以外の王室のメンバーには事前に知らされていなかったようです。それにしてもユーモアを兼ね備えたエリザベス女王の人なりが伝わってくるビデオです。
イギリス王室はフェースブック、ツイッター、インスタグラム、YouTubeなどのSNSを積極的に活用し王室のさまざまな活動を発信し、伝統を残しつつも親しみやすく開かれた王室を国民にアピールしていています。
日本の皇室と比較するとイギリス王室のSNS戦略は進んでいて、国民との距離感を縮めるため最大限の努力をしているのが感じられます。
現在のイギリス王位継承順位は?
96歳になられたエリザベス女王は去年秋には公務を休んで一時検査入院したほか、最近では歩く際に杖を使っています。
公務を欠席することも多くなったそうです。また70年以上連れ添った夫のフィリップ殿下を2021年に亡くしたこともあり、心身ともに負担が大きくなっているのではないかと言われています。
そこで気になるのが、イギリス王室の王位継承順位です。
英語で王位継承は「Line of succession to the British throne」と言います。
イギリスの王位継承は1701年に制定された王位継承法により原形が定められ、2013年に一部が改正されました。
現在の継承順位は次の通りです。(エリザベス女王2世からみた続柄)
第1位 : チャールズ ウェールズ皇太子(74歳 第1王子)
第2位 : ウィリアム ケンブリッジ公爵(41歳 王孫/チャールズ 第1子)
第3位 : ジョージ (9歳 王曾孫/ウィリアムの第1子)
第4位 : シャーロット (8歳 王曾孫/ウィリアムの第2子)
第5位 : ルイ (5歳 王曾孫/ウィリアムの第3子)
第6位 : ヘンリー サセックス公爵 (38歳 王曾孫/チャールズの第2子)
王位継承第6位のヘンリー サセックス公爵ですが、メーガン妃と結婚後の2020年、正式に王室から離脱を発表し現在は北米に移住しています。
ロイヤルファミリーの暴露本を出版し、メディアインタビューに対し王室内で人種差別があったなどと述べたことにより、王室にとって大きなダメージとなりました。一方でヘンリー王子とメーガン妃に対する批判の声も多いのも事実です。
しかしヘンリー サセックス公爵の王位継承順位は現在も第6位と変わりません。
イギリス王室はこれまでエリザベス女王が70年間かけて築き上げてきた王室の信頼を受け継ぎながら、今後さまざまな試練にどう対応し、国民、そして世界に、どのような王室像を示していくのかが問われていると思います。
<今日のビジネスで使えることわざ>
“時は金なり“
「Time is money.」
JT